化学物質の有害性、危険性
私達が日常生活のなかで使用する化学物質は、安定的なものが多く、取扱説明書に従って取り扱う限りは、事故は起きにくいものです。しかし、製品を製造したり、加工したりする場所では、化学物質の濃度が高く、取扱時間が長かったり、取扱量が多いことから、管理が不充分な場合、作業者に危険や健康障害をおよぼすことがあります。 そこで、有害性、危険性のある化学物質を例示します。 |
有 害 性 | 化学物質の例 | |
急性毒性 | 人に短時間で健康障害(中毒)を起こす性質 | シアン化ナトリウム ヒ素、クロロホルム |
腐食・刺激性 | 人の皮膚に損傷を起こす性質 | 水酸化ナトリウム、硫酸、硝酸、酢酸 |
人の皮膚に紅斑、かさぶたまたは炎症を起こす性質 | キシレン、アクリロニトリル、n-ヘキサン | |
人の眼に角膜混濁、結膜に炎症等を起こす性質 | 塩化カルシウム、アセトン、重クロム酸カリウム、無水フタル酸 | |
特定有害性 | 人にがんを発生させる性質(発がん性) | 石綿、塩化ビニル、クロロメチルメチルエーテル、エチレンオキシド、ベンゼン |
微生物または哺乳類の培養細胞の染色体等に異常を発生させる性質(変異原性) | アクリロニトリル、2-アミノアントラキノン、キノリン、1・3-ブタジエン | |
人の生殖能力または胎児の発生や成長に悪影響をおこす性質(生殖毒性) | エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸鉛、1・2-ジブロモー3-クロロプロパン | |
人の胎児の身体や各機能に異常をおこす性質(催奇形性) | サリドマイド、塩化カドミウム、一酸化炭素 | |
人に感作(アレルギー症状)を起こす性質 | コバルト、無水フタル酸 | |
人に慢性中毒を起こす性質(慢性中毒) | ベリリウム、ペンタクロロフェノール、五酸化バナジウム |
危 険 性 | 化学物質の例 | |
爆発性 火気や点火源に近づけたり、加熱、摩擦、衝撃をあたえることにより爆発する性質 |
ニトロベンゼン トリニトロベンゼン 過酢酸 |
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高圧ガス 圧縮や液化されて容器内に高圧で充填されている気体で、その容器を破裂させる性質 |
二酸化炭素、アンモニア、エチレン、エチレンオキシド、メタン | |
引火性 火気や点火源に近づけたり、蒸発、加熱すること等により引火する性質 |
エチルエーテル、ガソリン、メタノール、エタノール、灯油 | |
可燃性 火気や点火源に近づけたり、酸化剤との接触、加熱、衝撃をあたえること等により発火する性質 |
アセチレン、水素、プロパン | |
自然発火性 空気に触れることにより発火する性質 |
黄リン、セルロイド類、アルキルアルミニウム | |
禁水性 水と接触させると発火したり、可燃性のガスを発生させる性質 |
カリウム、ナトリウム、カーバイド | |
酸化性 加熱、摩擦、衝撃等により他の物質を酸化する性質 |
塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム |
(社)中央労働災害防止協会発行の「基礎からわかる化学物質による健康障害の防止」より要旨を抜粋しています。 |
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